jeudi 5 juin 2014

「ヘルシンキ宣言50年」 のシンポジウムにて



 今週の火曜日、6月3日は朝からコロックを聴くために厚生省にいた

1947年のニュルンベルク綱領を経て、1964年に出されたヘルシンキ宣言の50周年を記念した会である


この宣言は、世界医師会WMA)が人間を対象とする研究に対して採択した倫理に関する文書になる

対象は人間だけではなく、人間に由来する資料やデータも含まれる

また、医師だけではなく、医学研究に関与する人にも勧めている  

ヘルシンキ宣言の全文は、こちらから


午前中はインフォームド・コンセントが取り上げられていた

フランス語では、Consentement (libre et) éclairé という

弱い立場にいる人に、説明して同意を得るとはどういうことなのか

そもそも「説明する」のexpliquer は、風呂敷を広げるようにするという意味のラテン語に由来する

「もの・こと」を包み隠さず見せ、伝えることである

ある方は、「忠実に、正確に、適切に」と形容していた

その上で同意となるが、consentement (同意)と sentiment (感情)は別である

同意には事務的な含みがあり、その人間の感情にまで達している保証はない

相手の感情が満たされるところまで行かなければ信頼(confiance)は得られないと経験者は語っていた

Dr Xavier Deau


一日こちらの医学倫理に関わる人たちの話を聴いた印象は、相当に充実しているというもの

残念ながら日本の状況はわからないので、比較するのは難しいのだが、、、

しかし、最後のまとめのセッションで興味深い指摘があった

世界医師会の次期会長ザヴィエル・ドー(Xavier Deau)さんの次のような発言である

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世界の医学倫理におけるフランスの存在感は、欧米の他の国に比べると薄い

アフリカのフランコフォンの国に行ってもその傾向に変わりはない

(フランス語を使うスイス、ベルギーなどが入っているのか、はたまた英語の侵入なのか)

これまで世界で通用する原理的な考えを広める上でフランスは重要な役割を担ってきた

しかし、その力が弱まっているのではないか


新興国においてフランス的な精神を広める上で忘れてはならないこと

それは、援助するという考え方を捨てること

助けるとか考えを押しつけるのではなく、相手の話を聴き、理解し、寄り添う姿勢が必要になる

この原則に基づいて、フランスの倫理の考え方を広めていきましょう

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世界医師会会長というよりは、フランス人としての発言であった

世界にフランス的価値観を広めようとする意識はまだ健在のようだ

翻って日本の状況はどうなのだろうか

別ブログでも触れたが、日本の「物」ではなく「思想」を広めるという考えが生まれることはあるのだろうか

鈴木孝夫博士の講演を聴く (2013-05-07)

国内の狭い枠の中で忙しくしているところからは広めるべき思想そのものが生まれてこない可能性がある

外に開かれた視点を持つことができるのかどうか

素人目にはそのあたりが決め手になるのではないかと思うのだが、、、

いずれにせよ、日本発の骨太の思想が生まれ出ることを期待したいものである




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