● 「健康と病気は二つの異なった世界ではなく、生きるものが普通に持つ二つの状態である」 (François-Bernard Michel, Aux risques de guérir , 1997)
● 健康と病気について、ニーチェはこう言っている。
「稜線近くの二つの位置のようなもので、個人がその線を越える危険を冒してもう一方を探索することを可能にしている」
● 患者を意味する patient は、「わたしは苦しんでいる」 を意味するラテン語の patior に由来する。患者は patience (忍耐)が求められることにもつながる。
● ルネ・ラエンネック(1781-1826) は、言葉、患者に触れる手、態度、署名などのすべてが治癒効果を持っていると考えていた。つまり、芸術と同様に、医療においてもその人間から発せられるすべてが重要になると考えていた。
● ヒポクラテスは、人間をその全体として診る態度があるかどうかで藪医者を区別していた。プラセボで治すことができるかどうか、つまり医者の人間力を重視していたのである。
● 「医者無き医学」が生まれるか。患者を診ることも触ることもなく、診断して治療薬を出すテクノロジーが生まれるだろうか。
● 「全体性 (Ganzheit; totalité ; wholenss) という概念は、19世紀にはなかった。専門化が進むに伴い、その対抗概念として生まれた」(ハンス・ゲオルク・ガダマー, 1900-2002)
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病気を意味するフランス語は maladie しかない。英語には disease、illness、sickness
の少なくとも3種類ある。disease は医学で明らかにされた状態で、sickness は自覚的・主観的な状態 (I am sick.)
であるのに対し、illness はそれらに伴う社会的な状況を意味するようである。
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