samedi 27 février 2010
AAAS 2010 から: "One Health: Environment, Animals, Humans, and Microbes"
次の演者はStanely Maloy 博士。
これまで環境というと野生動物を含むものとして捉えられていたが、今では水、土壌、植物などのすべてを包括したものとして捉え直さなければならない。この環境から細菌を除去したとすると、生物は数日の内に生存不能になるだろう。そこまでわれわれの生は相互依存の関係にある。最初に指摘したいのは、これら複雑に絡み合う現象の学際的研究を進めるための funding system が確立されていないことである。それから重要だったことは、1967年にアメリカ政府の Surgeon General が研究の重点を感染症からがんや心臓病に転換したことで、研究者の意識と研究費配分に大きな影響を与えたことである。
上の図は環境と感染症との関係を示している。まず、環境の変化により、動物からヒトへの感染が起こることがあり、新しい微生物の特徴が進化することがある。また、環境が微生物の隠れ家のようなところを提供している。そして、新しいテクノロジーの出現により、しばしばパラダイム・シフトが起こるが、"One Health" の概念も新たな解析方法の確立により、初めてでき上がってきたものになる。
これまでにいくつかの例が見られる。1976年、米国ペンシルベニア州で米国在郷軍人会が開かれた際、原因不明の肺炎で死者が出ている。その後、空調設備から新しい細菌が見つかり、レジオネラ(Legionella pneumophila)と命名された。これは環境中に普通に存在する細菌で病原性は低いが、空調装置からエアロゾルとして吸入されると感染症を引き起こす。
それから日本でも記憶に残っている大腸菌(Escherichia coli)O157:H7 がある。最初は1982年、米国でハンバーガーによる食中毒(出血性大腸炎)を起こす病原体として報告された。食肉の原料に環境からの細菌が付着していた可能性が高い。
野生動物に寄生している Borrelia によりライム病が発症する。典型的な人獣共通感染症になる。その他、胃粘膜に感染するヘリコバクター・ピロリ、食中毒の原因になるサルモネラなどが有名である。
サルモネラは、食肉や動物製品、ペットだけではなく、植物や植物製品にも存在する。しかも植物の場合には、植物の中に入る endophyte の形を取るので、同定や殺菌が難しくなる。
最近の metagenomics の進歩により、環境に存在する病原体が明らかにされつつある。例えば、海水 1 ml 当たり100万以上のウイルスを検出できる。これを利用して、種々の環境における外毒素遺伝子を同定する試みを行っているという。このようなモニタリングにより、実際には起こっているが目には見えない環境の変化を掴むことができる。
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