「治癒」に関わる重要な要素として、患者と医者の間で交わされる会話がある。医者が治癒者という立場を維持しようとする時、最初の接触から最後に至るすべての過程でどのような言葉を使うのかが問われる。言葉には治癒を決める力があることを忘れてはならない。
ここでの大きな問題として、そもそも「会話とは何か」という問いが浮かび上がるが、これからの問いとして控えておきたい。
これまでの患者として、あるいは患者の家族として医者の言葉には注意を払ってきた。患者の側は医者の言葉にどれだけ多くの影響を受けているのかを体で感じて
きた。この事実に医療の側が充分な配慮をしていないと思われる場面にも遭遇している。現在の状況はよく分からないが、この視点からの教育はどの程度されて
いるのだろうか。
治療の英語 therapy の語源は古代ギリシャ語のθεραπεία(therapeía)で、奉仕(service)の意味が含まれている。その意味では、科学としての医学を施すだけでは不充分で、患者への敬意を払いながら人間への実践の技術(ars)がどうしても求められる。科学を施せば十分であるという姿勢が広まる中、真の治癒者になる上では忘れてはならない点だろう。
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