vendredi 31 octobre 2014

第8回サイファイ・カフェSHEのお知らせ



第8回サイファイ・カフェSHEを以下の要領で開催いたします

 
テーマ: 「インテリジェント・デザインを哲学する」

日時: 2014年11月27日(木)、28日(金) 18:20~20:00  

定員: 約15名 (両日とも同じ内容です)

この世界を理解するために、人類は古くから神話、宗教、日常の常識などを用いてきました。しかし、それとは一線を画す方法として科学を編み出しました。この試みでは、長い歴史を持つ科学の中で人類が何を考え、何を行ってきたのかについて、毎回一つのテーマに絞り、振り返ります。そこでは科学の成果だけではなく、その背後にどのような歴史や哲学があるのかという点に注目し、新しい視点を模索します。このような営みを積み上げることにより、最終的に人間という存在の理解に繋がることを目指しています。

今回は、インテリジェント・デザイン(ID)を取り上げます。生物の在り様を説明する考え方として、ダーウィンによる変異と自然選択による漸進的な進化が広く受容されています。この説では、生命は行く先が決まっていないopen-endedな過程を歩むと想定しています。また、方法論としては物理還元主義が絶対的な力を持っています。しかし、これらの思想では生命や意識の出現などは説明できないとして、宇宙や生命は「知性ある原因(デザイナー)」による方向性を持った過程だと唱えるIDが現れました。そこには科学が排除したはずの目的論が顔を出し、正統派の科学者の批判の対象になっていますが、この主張に共感を示す哲学者も現れています。生物の存在を考える上で、IDの指摘には聞くべき点は何もないのでしょうか。今回も講師がIDの骨子を30分ほど話した後、約1時間に亘って意見交換していただき、懇親会においても継続する予定です。





会終了後、懇親会を予定しております
 
参加を希望される方は、希望日と懇親会参加の有無を添えて 
she.yakura@gmail.comまでお知らせください  

よろしくお願いいたします





jeudi 30 octobre 2014

第2回 生き方としての哲学を語る 「カフェフィロ PAWL」 のご案内



第2回カフェフィロ PAWLを以下の要領で開催いたします

案内ポスター

 
テーマ: 「エピクロス: その物理学、哲学、生き方」
   
日時: 2014年11月21日(金) 18:20~20:00

定員: 約15名


哲学には、大きく二つの流れがあるように見えます。一つは、大学でやられている哲学で、体系の構築を目指す哲学です。これに対して、自己の創造や人生を一つの芸術作品にしようとするような生きることに直結する哲学があります。カフェフィロPAWLは、長い間劣勢にあった後者の流れの中を歩む予定です。当面の間、生きることに関わる哲学を展開した哲学者の歩みを振り返りながら、そこで問題にされたテーマをわれわれ自身に引き付けて考え、語り合うことを中心に据えることにしました。このような営みの中で、われわれの生き方に新しい風を吹き込み、人間存在そのものに対する理解を深めることができれば素晴らしいと思っています。

第2回のPAWLでは、古代ギリシャのエピクロス(341 BC - 270 BC)を取り上げ、その科学と哲学、さらに生き方について語り合う予定です。エピクロスの自然科学によると、この世界は原子と空虚から構成され、何ものの支配も受けることなく原子は「空」の中を動き、偶然によってその動きが乱れた時に「もの・こと」が現れるとされます。彼の哲学はエピキュリアンとして現代でも誤って理解されている場合がありますが、過去においても長い間排斥された歴史があります。一体、彼の追及した快楽とはどのようなものだったのでしょうか。その点を理解すると、現代でも色褪せない彼の哲学が浮かび上がってきます。彼の科学、哲学、生き方について講師が30分ほど話した後、約1時間に亘って意見交換していただき、懇親会においても継続する予定です。


会場: カルフール C会議室


カフェ終了後、懇親会を予定しております

 参加を希望される方は、she.yakura@gmail.com までお知らせいただければ幸いです

年末のお忙しい時期になりますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします








mercredi 29 octobre 2014

アリストテレスとプラトンの全作品集

 Aristote : Oeuvres complètes (Flammarion, 2014)


最近、ピエール・ぺルグラン(Pierre Pellegrin)さんの編纂になるアリストテレスの全作品集が出た

 1冊に纏められているが、3,000ページにならんとするものである

これまで作品別に読んだものもあるが、すべてがそこにあると思うと背筋が伸びるように感じる

今は無理だが、これからの楽しみになりそうだ



Platon : Oeuvres complètes (Flammarion, 2008, 2011)


そう言えば、同じ出版社から出たプラトンの全作品集も手に入れていた

最初に出たのは2008年らしいが、わたしが手に入れたのはソフトカバー版が出た2011年のこと

大体2,000ページある

こちらもいずれの楽しみにしている





jeudi 16 octobre 2014

「科学における知の基盤を探る」 講演会のご案内

@Collège de France


講演会のご案内をいただきました

以下の要領で行われます

興味をお持ちの方は奮ってご参加を!

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「科学における知の基盤を探る」 講演会開催のご案内 
日時: 2014年11月18日(火)13:30~17:30
会場: 日仏会館ホール
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿3-9-25
入場料: 無料

    演題Ⅰ 

「科学思想の源泉としてのフランス─デカルトから啓蒙思想へ─」

村上 陽一郎氏(東京大学名誉教授)

演題Ⅱ 

「モノー 『偶然と必然』: 生物の生物らしさを分子から理解しようとする思索のあゆみ」

佐藤 直樹氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)

演題Ⅲ 

「新しい自然誌(Histoire naturelle)を求めて」

中村 桂子氏(JT生命誌研究館館長)


参加ご希望の方は、池田忠生 tdikeda@ae.auone-net.jp にお申し込みください。

定員になり次第、受付を終了させていただきます。





mardi 14 octobre 2014

エボラウイルス病に対するパスツール研究所の対応


 Médecin @Chartres


現在西アフリカで広まっているエボラ病などに対するパスツール研究所の対応が発表された

以下に、その要約を纏める


西アフリカにおけるエボラウイルス、及びその他のウイルス性出血熱に対応するメリュー財団パスツール研究所との提携協定
 2014年9月12日(金)、メリュー財団とパスツール研究所は、西アフリカにおけるエボラウイルス、及びその他のウイルス性出血熱に対応する提携領域を強化する協定に調印した。協定は3点に関わるものである。 
● 西アフリカ諸国におけるリスクグループ4のウイルスによる感染症の検出と同定のための新たな移動研究室の展開: このプロジェクトは、国際協力と開発に関わるフランスの国立機関(FEI)とフランス国立保健医学研究機構(INSERM)を通して、メリュー財団とパスツール研究所により欧州委員会の開発協力部(DevCo)に提出されている。新しい移動研究室の展開の目的は、既存のヨーロッパ移動研究室(EMLab)の能力、並びにダカールパスツール研究所とアフリカの現地におけるアフリカ人とヨーロッパ人のチームの育成を強化することである。第1フェーズは、エボラウイルス病が広まっているギニアシエラレオネリベリアに集中する予定である。
● アフリカ諸国(ギニア、マリモーリタニアセネガルコートジボワール)における地域と国立の研究室の能力強化のため、フランス開発庁(AFD)に提出された育成と能力強化のプログラム。パスツール研究所は、同研究所がある国(セネガル、カメルーン中央アフリカ共和国、コートジボワール、ニジェールマダガスカル)、及びコナクリドンカ病院で研究者が既に診断を行っているギニアにおける育成に特に責任を持つ。メリュー財団は、フランス開発庁に支援されているプログラムである西アフリカ研究室ネットワーク(RESAOLAB)に参加しているベナンブルキナファソ、ギニア、ニジェール、セネガル、トーゴで特に活動することになる。この活動は西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の国々に拡大する可能性もあるが、そこではメリュー財団が西アフリカ保健機構の調整の下、世界銀行の援助を受けたプロジェクトである西アフリカ地域疾病サーベイランス(WARDS)の枠内で研究室の専門家を育成することになる。
● 新しい診断検査法の評価。エボラウイルス病、及び他の出血性疾患が疑われた場合、新しい診断法の評価がメリュー財団とパスツール研究所の緊密な協力の下に行われる予定である。 

AFD:Agence Française de Développement
DevCo:Développement et coopération
ECOWAS:Economic Community of West African States
EMLab:European Mobile Laboratory Project
FEI:France Expertise Internationale
INSERM:Institut national de la santé et de la recherche médicale
RESAOLAB:Réseau d’Afrique de l’Ouest des Laboratoires
WARDS:West Africa Regional Disease Surveillance



lundi 13 octobre 2014

パリから見えるこの世界 (21) 17世紀の科学から豊穣と悦びのオランダの旅へ

Hans Lodeizen (1924-1950)
 @Leyde 2012


雑誌 「医学のあゆみ」 に連載中の 「パリから見えるこの世界」 第21回エッセイを紹介いたします


« Un regard de Paris sur ce monde »

 医学のあゆみ (2013.10.12) 247 (2): 213-217, 2013


 ご一読、ご批判いただければ幸いです



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写真の詩のグーグル訳です

we will deal with life in a big way
as we treat a murderer among us. 

I do not like art that dies
in the mouth of the beloved poet
Now Nyjinski dead, we have to
put flowers at all windows, because
that just keeps beauty remain alive
we want a handful of children, wine, and
a playground quite trounced by the sun.

ハンス・ローダイゼン:

ローザンヌのサナトリウムで白血病のため26歳で亡くなったオランダの詩人




パリから見えるこの世界 (20) ネガティブ・ケイパビリティ、あるいは不確実さの中に居続ける力

Vincent
@Lens 2014


雑誌 「医学のあゆみ」 に連載中の 「パリから見えるこの世界」 第20回エッセイを紹介いたします

医学のあゆみ (2013.9.14) 246 (11): 989-993, 2013


 ご一読、ご批判いただければ幸いです




vendredi 3 octobre 2014

エピジェネティークの後はメタフィジーク

Dr Vincent Colot
Institut de Biologie de l’Ecole Normale Supérieure (IBENS)


昨日と今日はエピジェネティックスについてのワークショップへ


若い哲学研究者が中心で、数名の最先端の生物学者が加わっていた

哲学者の興味は言葉の中身、定義へと向かいがちである

それは重要なのだが、科学は定義なしに「こと」を進めることができる

どれだけの科学者がこの作業に興味を持つだろうか


エピジェネティックスはラマルク的か、という問いがある

今明らかにされていることをラマルクが言っていたわけではないという意味で、答えはNOだろう

現象面では類似しているのだが、、

ラマルクという言葉が出てくるように、科学の成果を歴史に照らして検討することの意味は大きい


エピジェネティックスはパラダイム・シフトを起こしているのか、という問いもある

さらに、「遺伝子なき遺伝」という言葉も踊っている

遺伝子はタンパクをコードするDNAの断片と定義されてきた

DNAの配列に依存しない遺伝も明らかになる

しかし、それは遺伝子があってのことである

「遺伝子なき遺伝」はありえないし、パラダイム・シフトを起こしているということもない

ただ、メンデルの遺伝学を豊かにしていることは確かである

そんなところが現状認識になるだろうか


遺伝子産物の発現に関与するすべての要素を含めて遺伝子と定義したいとする意見があった

ジャン・ドイチュ博士の提唱で、博士はそれを「パンゲン」と名付けていた

この名称について疑義を差し挟んだことは以前に触れた


偶然にも博士が横になったので、その後の経過を訊いてみた

そうすると、新しい「パンゲン」のアイディはなかなか受け入れてもらえないとの返答であった


今日のデジュネはMD氏と一緒だった

話題は、新しく出たエッセイのテーマと同じ科学と形而上学

なかなか良い話ができたと思う

わたしは科学の成果から出発して形而上学の世界に飛び出したいと思っている


一方のMD氏は、科学から形而上学を一掃したいと考えている

彼の言う形而上学とは、自然界には実体がないもので、言葉だけの世界を指している

もしそうだとすると、科学で使われている言葉のかなりの部分は形而上学の世界に属することになる

それを一掃することなどできるのだろうか

おそらく無理だろうと彼も思っている

その場合は、そういう曖昧なものを扱っていることを科学者が意識する必要があるという

ご本人は、それを科学者に意識させるようにすることが大切だと考えている


わたしの形而上学は科学の成果の先にある想像の世界になる

科学から離れることなく、その世界に新しい光を当てることができないだろうか

そうすることによって、「もの・こと」をより深く理解できるような光の当て方ができないだろうか

そんな問題意識を持っている


今日意見の一致を見たのは、次の点だった

哲学が自らの中に籠もり、そこでの満足を求めるところに留まるのを止めること

そして、多くの科学者が納得する形で科学にフィードバックができるようなやり方を模索すること

今の状態では科学者は哲学の言うことを聞くことはないだろう

もったいない話である

科学が気付いていないのだから、哲学の側からの働きかけが問われることになる

Philosophy of scienceではなく、Philosophy for scienceの視点を採ることができるかどうか

そこが問われるだろう

そう言っている哲学者もいる


このような考えになるのは、お互い科学から出発して哲学に入ったからだろう

科学への働きかけが常に意識にあるからだろう