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mercredi 16 janvier 2013
lundi 22 novembre 2010
チャード・ルウォンティン 「三重らせん」 を読む "Triple Helix" by Richard Lewontin
今年の春に読んだこの本を振り返ってみたい。 Richard Lewontin の "The Triple Helix" 「三重らせん」を振り返ってみたい。著者のチャード・ルウォンティンさんはスティーヴン・ジェイ・グールドさんと共著で 「サンマルコ大聖堂のスパンドレルとパングロス風パラダイム:適応主義者のプログラムの批判」(Proc. R. Soc. Lond. B 205, 581-598, 1979) という進化生物学の有名な論文を書いている。この論文は適応主義万能の考えを徹底的に批判したもので、この世界は可能な限りの最善な状態にあると言い張る善良なパングロス博士(ヴォルテールのカンディードに出てくる)の論理の批判とも通じるため、論文のタイトルに使われている。
パングロスの立場は、鼻は眼鏡をするために、足はズボンをはくためにあるだと考えるもので、適応主義者は今あるものすべてに本来の役割があるはずだと考える。しかし、ルウォンティンさんはベニスにあるサンマルコ大聖堂の穹隅を例に取り、穹隅は丸天井を造る時にアーチにより結ばれる柱の上にできるもので、それ自体に本来の役割があるわけではないのと同様に、すべてのものに本来の役割があると考える立場を批判した。
ところで、 「三重らせん」 では遺伝子、生物、環境のそれぞれの関連がテーマになっている。生物のあり様は遺伝子だけではなく、その環境により決められている。同様に、それまで独立してあると考えられていた環境も、その中に存在する生物の影響を受けていることなどが書かれてある。細胞や臓器、ひいては生物の個体を決めているのは生まれつき持っている遺伝子だとする遺伝子絶対主義があるが、後天的に環境の変化により遺伝子が化学的修飾を受けることによっても生物のあり様が変化する。このエピジェネティクスと言われる機構の関与が強調されている。少し幅広く生物現象を見ようとする視点がそこにある。
17世紀に起源を持つ還元主義の成功を未だに引き摺っている現代科学だが、その成果から考えると致し方ないところもある。ここでは個々の部分に分けて解析するが、部分と言うからにはそれを取りだした全体があるはずである。そこで問題になるのが、どのレベルをそれぞれの全体にするのかという点になる。その選び方により、全体像が変わってくる可能性がある。そもそも全体に分割可能な線が引かれているわけではない。例えば、臓器別に考える場合でも臓器間には目には見えない繋がりがあるはずである。この問題は生物だけではなく、学問をどう見るのかを考える時にも大切になるだろう。部分の切り取り方により、学問全体の見え方が変わってくることが予想され、普段あまり意識されていないが、考え始めると大きな問題になる。
この本の中に興味深い話が出ていた。それは原因(cause)と "agency" (何かが起こるために及ぼされる作用のようなものか) との違いに関わるもので、医学においてその混同が著しいと言っている。その例として、人間の死因が取り上げられている。死因の必要条件と十分条件について、こう書いている。人の死因としてがんや心臓病などがあるが、がんや心臓病に罹ったからと言って必ずしも死を意味しない。逆に病気がないからと言って永遠に生きるわけでもない。病気を治し、根絶することを目指している医学だが、人は死から免れることはできない。せいぜい少しだけ命が延びるだけだ。もしそうであれば、これらの病気は agency とでも言うべきもので、死の真の原因は体を構成する成分の摩耗など、病気とは別にあるのではないかと考えている。
19世紀のヨーロッパでは感染症が人の命を奪っていた。死因は感染症だったと言われている。今では当時のように感染症で亡くなる人は減っているが、これは医学の進歩のせいだろうかと問い掛ける。病原体が分かったからだろうか。しかし、ロベルト・コッホが病気は病原体によると発表した後でも感染症で亡くなる人は減っていない。抗生物質のせいだろうか。そうではなさそうだ。なぜなら、第二次大戦後に本格的に抗生物質が使用される前に感染症は90%以上減少していたからである。それでは公衆衛生状況の改善だろうか。しかし、ほとんどが空気感染であることを考えると、必ずしも当たっていないだろう。
それでは19世紀の人の死因は何だったのか。それはいかなる医学的な努力も叶わなかったもの、すなわち、社会的な要因であった。19世紀から20世紀にかけて見られた賃金の上昇、栄養状態の改善、さらに労働時間の短縮により、人々は死ななくなった。十分な栄養と休息を取り、ストレスの少ない生活環境が感染症によるとされる死を減少させたと考えている。すなわち、感染症は死因ではなく、単なる "agency" にしか過ぎなかったと結論している。19世紀のヨーロッパの死因であった栄養障害と過剰労働は今でも第三世界の死因として生きている。agency だけではなく、真の原因を探すことが人間の条件を改善する上で大切であるというメッセージを送っているように見える。
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samedi 6 mars 2010
AAAS 2010 から: "The environment as a source of infection"
感染症の源泉になっている環境についてお話したのは、メリーランド大学とジョンス・ホプキンス大学のリタ・コールウェル博士。以下は簡単なメモ。
まず第一に、国際的な移動をする人の数が年々増えていることを指摘。
それから、具体例として砂漠の砂の移動をあげていた。サハラ砂漠、北アフリカの砂がイタリア方面に運ばれ、その中には微生物が大量に見つかっている。感染症だけではなく、喘息の増加も指摘されている。日本であれば黄砂の影響。
2002年の全人口における死因を見ると、心血管系疾患が29%、感染症19%、がん13%、呼吸器・消化器系疾患10%となっている。
しかし、5歳以下の小児を見ると、新生児期の病気37%、急性呼吸器感染症19%、下痢性疾患17%となり感染症の割合が増している。

John Snow (1813-1858)
1854年、ロンドンでコレラが大流行したが、ジョン・スノーはその伝搬が水によるものと特定し、公衆衛生の歴史に大きな足跡を残した。疫学の父とも言われる。その際に、彼は現場の人との話、ロンドンの地図と統計を用いてコレラ発生が水道ポンプの位置と一致することを明らかにした。コレラ菌の発見はその30年後の1883年にコッホによるとされるが、実際には1854年にイタリア人医師フィリッポ・パチーニ(Filippo Pacini, 1812-1883)によって記載されている。その間無視されていたようだ。
世界の国別コレラ発生を見ると、例えばアフリカのモデル国であっても、政情が不安定になり公衆衛生が等閑にされると一気に広がる。また地球規模の環境の変化が病気の発生を決めることがあるので、ジョン・スノーの地図として、今はサテライト映像を利用して海水温度や海水レベルなどをモニターしている。病気が社会や環境により決められている一例だろう。
シエラ・クラブの創設者、ジョン・ミューアの 「自然の中にあるすべてのものは全宇宙と繋がっている」 という言葉を紹介していた。ディスカッションの中での発言からいくつか。ヒトのメタジェノミクスがNIHで始まったところだが、環境の広範なメタジェノミクスも必要になる。水が汚染されたままでワクチンを投与しても効果は見込めない。むしろ、きれいな水の方がワクチンより効果があり、濾過器(ナノテクノロジーによる)の普及が必要になる。
まず第一に、国際的な移動をする人の数が年々増えていることを指摘。
それから、具体例として砂漠の砂の移動をあげていた。サハラ砂漠、北アフリカの砂がイタリア方面に運ばれ、その中には微生物が大量に見つかっている。感染症だけではなく、喘息の増加も指摘されている。日本であれば黄砂の影響。
2002年の全人口における死因を見ると、心血管系疾患が29%、感染症19%、がん13%、呼吸器・消化器系疾患10%となっている。
しかし、5歳以下の小児を見ると、新生児期の病気37%、急性呼吸器感染症19%、下痢性疾患17%となり感染症の割合が増している。

John Snow (1813-1858)
1854年、ロンドンでコレラが大流行したが、ジョン・スノーはその伝搬が水によるものと特定し、公衆衛生の歴史に大きな足跡を残した。疫学の父とも言われる。その際に、彼は現場の人との話、ロンドンの地図と統計を用いてコレラ発生が水道ポンプの位置と一致することを明らかにした。コレラ菌の発見はその30年後の1883年にコッホによるとされるが、実際には1854年にイタリア人医師フィリッポ・パチーニ(Filippo Pacini, 1812-1883)によって記載されている。その間無視されていたようだ。
世界の国別コレラ発生を見ると、例えばアフリカのモデル国であっても、政情が不安定になり公衆衛生が等閑にされると一気に広がる。また地球規模の環境の変化が病気の発生を決めることがあるので、ジョン・スノーの地図として、今はサテライト映像を利用して海水温度や海水レベルなどをモニターしている。病気が社会や環境により決められている一例だろう。
シエラ・クラブの創設者、ジョン・ミューアの 「自然の中にあるすべてのものは全宇宙と繋がっている」 という言葉を紹介していた。ディスカッションの中での発言からいくつか。ヒトのメタジェノミクスがNIHで始まったところだが、環境の広範なメタジェノミクスも必要になる。水が汚染されたままでワクチンを投与しても効果は見込めない。むしろ、きれいな水の方がワクチンより効果があり、濾過器(ナノテクノロジーによる)の普及が必要になる。
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dimanche 28 février 2010
AAAS 2010 から: "EcoHealth, One Health & Conservation Medicine"

NGO の Wildlife Trust のピーター・ダスザック博士は、パンデミックの予見と予防のためにいろいろな研究分野を融合する重要性を説いた。
感染症が世界経済に与える負担を概観したデータによると、重症急性呼吸器症候群 (SARS: Severe acute respiratory syndrome) で 400-500億ドル、鳥インフルエンザ (Avian influenza; H5N1) で 250-300億ドル、口蹄疫 (Foot-and-mouth disease) はイギリスで 180-250億ドル、台湾では 50-80億ドル、牛海綿状脳症 (BSE: Bovine spongiform encephalopathy) はイギリス100-130億ドル、カナダ49億ドル、アメリカ32-47億ドルと甚大なものになっている。
人類の感染症の歴史は古く、すでに聖書に記載されている。有名なものでは14世紀のペストがあり、人口の30%が亡くなったと言われている。1520年にはスペインのエルナン・コルテスが持ち込んだ天然痘によりアステカ族数百万が斃れ、メキシコ征服を決める一因となった。また20世紀初頭のスペイン風邪では2000-4000万人が犠牲になったとされる。
人口増加や森林の伐採などの自然破壊の影響で病原体の移動が起こり、野生生物の動向が変化したり、潜伏感染が進行する。野生生物との接触や狩猟の影響も無視できない。発展途上国では未だに動物と寝食を共にすることは稀ではない。さらに世界的な人の移動がパンデミックの危険を増すことになる。ただ、1998-2003年の鳥インフルエンザの例を見ると、飛行機便の頻度と発症の間には相関は見られないという。公衆衛生の管理の行き届いた国ばかりではないので、報告されていない可能性も否定できない。むしろ発症とその国がどれだけ公衆衛生に金を使っているのかの方が相関が強い。

それではわれわれは人獣共通感染症を予見できるのだろうか。1998年の論文で、F.A. Murphy がいつどこで何によって人獣共通感染症が起こるのかを予見することは不可能であるとの見解を発表している。ダスザック博士はこの考えに挑戦しようとしている。

そのための仮説として、社会経済的要因が人獣共通感染症を生み出す。とすれば、その危険性は緯度の高い富める国で高くなるだろう。薬剤耐性の感染症の分布は社会経済的条件と相関する。野生が将来の人獣共通感染症の主要な源泉になる。もしそれぞれの種が同等の未知の病原体を持っている仮定すると、哺乳動物の多様性に富む地域が最も危険性が高くなるだろう。アジアではコウモリを食べる習慣があるので、最初の試みとしてコウモリを対象に研究を進め、新しいウイルスを発見したとのこと。また、ネット上での噂話にも注目して不可解な感染症の出現をモニターしているようである。
EcoHealth journal
International Association for Ecology & Health
samedi 27 février 2010
AAAS 2010 から: "One Health: Environment, Animals, Humans, and Microbes"
次の演者はStanely Maloy 博士。
これまで環境というと野生動物を含むものとして捉えられていたが、今では水、土壌、植物などのすべてを包括したものとして捉え直さなければならない。この環境から細菌を除去したとすると、生物は数日の内に生存不能になるだろう。そこまでわれわれの生は相互依存の関係にある。最初に指摘したいのは、これら複雑に絡み合う現象の学際的研究を進めるための funding system が確立されていないことである。それから重要だったことは、1967年にアメリカ政府の Surgeon General が研究の重点を感染症からがんや心臓病に転換したことで、研究者の意識と研究費配分に大きな影響を与えたことである。
上の図は環境と感染症との関係を示している。まず、環境の変化により、動物からヒトへの感染が起こることがあり、新しい微生物の特徴が進化することがある。また、環境が微生物の隠れ家のようなところを提供している。そして、新しいテクノロジーの出現により、しばしばパラダイム・シフトが起こるが、"One Health" の概念も新たな解析方法の確立により、初めてでき上がってきたものになる。
これまでにいくつかの例が見られる。1976年、米国ペンシルベニア州で米国在郷軍人会が開かれた際、原因不明の肺炎で死者が出ている。その後、空調設備から新しい細菌が見つかり、レジオネラ(Legionella pneumophila)と命名された。これは環境中に普通に存在する細菌で病原性は低いが、空調装置からエアロゾルとして吸入されると感染症を引き起こす。
それから日本でも記憶に残っている大腸菌(Escherichia coli)O157:H7 がある。最初は1982年、米国でハンバーガーによる食中毒(出血性大腸炎)を起こす病原体として報告された。食肉の原料に環境からの細菌が付着していた可能性が高い。
野生動物に寄生している Borrelia によりライム病が発症する。典型的な人獣共通感染症になる。その他、胃粘膜に感染するヘリコバクター・ピロリ、食中毒の原因になるサルモネラなどが有名である。
サルモネラは、食肉や動物製品、ペットだけではなく、植物や植物製品にも存在する。しかも植物の場合には、植物の中に入る endophyte の形を取るので、同定や殺菌が難しくなる。
最近の metagenomics の進歩により、環境に存在する病原体が明らかにされつつある。例えば、海水 1 ml 当たり100万以上のウイルスを検出できる。これを利用して、種々の環境における外毒素遺伝子を同定する試みを行っているという。このようなモニタリングにより、実際には起こっているが目には見えない環境の変化を掴むことができる。
vendredi 26 février 2010
AAAS 2010 から: "One World - One Health"
2月18日~21日までカリフォルニアのサンディエゴであったアメリカ科学振興協会の年会に参加した。サブタイトルが "Bridging Science and Society" で、ある特定の分野に閉じこもるのではなく、その外との関係を探るお話をいくつか聞いた。この機会に簡単にまとめておきたい。
19日には "One health: Attaining optimal health for people, animals, and the environment" というセッションに参加。現代の健康問題はヒト、動物、環境(物理的、社会的)が不可分に絡み合っているので、それに対応したアプローチが必要になることが強調されていた。
CDCP (Center for Disease Control & Prevention) の Carol Rubin 博士は、まず "One Health" の概念が実は新しいものではなく、ルドルフ・ウィルヒョー (Rudolf Virchow, 13 October 1821 – 5 September 1902) の考えの中に見出すことができるとしている。彼はすべての細胞は細胞に由来する "omnis cellula e cellula" という細胞説を唱えた(細胞)病理学の大家であるが、人の病気と動物の病気との間に境界線はなく、また境界線を引くべきでもないと考えていた。そして、Zoonose (de., fr.) 人獣共通感染症 (en. zoonosis) という言葉を造っている。それだけではなく、ヒトの病気の予防のための食肉検査まで唱えている。それから近代医学の父と称されるカナダのウィリアム・オスラー (William Osler, July 12, 1849 – December 29, 1919) は、1870年代に医学部と獣医学部で教えていた。1890年代に入り、医学と獣医学が協力することにより cattle fever の原因となる Babesia bigiminia を発見したり、病気がマダニによって起こることを明らかにし、黄熱病を媒介する蚊の発見へと導く基礎を築いた。
20世紀に入ると医学は益々細分化され、ヒトと動物の病気も分断されることになる。その結果、医学部において人獣共通感染症が強調されることはなくなり、獣医学部もペット・動物の医学に変容していった。しかし、21世紀に入り、2004年9月には World Conservation Society がロックフェラー大学において地球における健康を分野を超えて総合的に見直そうとするシンポジウム "Building Interdisciplinary Bridges"を開き、12の原則 "12 Manhattan Principles" を発表する。その後、この運動は "One World - One Health (OWOH)" として現在も継続されている。
2009年にアフリカのペストがほぼゼロに激減したが、それは医学的な理由に因るのではなく、世界的な気候変動が媒介するノミなどに影響を及ぼした可能性が考えられ、病気の全体像を捉えるためには広い視点が求められる証左としていた。このようなアプローチをする上で重要になるが異分野間の協力であるが、そこで障害になっているのがお互いに敬意を払う姿勢の欠如であるという。これからの研究者は specialist であるだけでは不十分で、generalist の視点も併せ持たなければならないだろう。その上で、異なる領域の研究者と積極的に交わり、共同で事を進めることが求められる。
19日には "One health: Attaining optimal health for people, animals, and the environment" というセッションに参加。現代の健康問題はヒト、動物、環境(物理的、社会的)が不可分に絡み合っているので、それに対応したアプローチが必要になることが強調されていた。
CDCP (Center for Disease Control & Prevention) の Carol Rubin 博士は、まず "One Health" の概念が実は新しいものではなく、ルドルフ・ウィルヒョー (Rudolf Virchow, 13 October 1821 – 5 September 1902) の考えの中に見出すことができるとしている。彼はすべての細胞は細胞に由来する "omnis cellula e cellula" という細胞説を唱えた(細胞)病理学の大家であるが、人の病気と動物の病気との間に境界線はなく、また境界線を引くべきでもないと考えていた。そして、Zoonose (de., fr.) 人獣共通感染症 (en. zoonosis) という言葉を造っている。それだけではなく、ヒトの病気の予防のための食肉検査まで唱えている。それから近代医学の父と称されるカナダのウィリアム・オスラー (William Osler, July 12, 1849 – December 29, 1919) は、1870年代に医学部と獣医学部で教えていた。1890年代に入り、医学と獣医学が協力することにより cattle fever の原因となる Babesia bigiminia を発見したり、病気がマダニによって起こることを明らかにし、黄熱病を媒介する蚊の発見へと導く基礎を築いた。
20世紀に入ると医学は益々細分化され、ヒトと動物の病気も分断されることになる。その結果、医学部において人獣共通感染症が強調されることはなくなり、獣医学部もペット・動物の医学に変容していった。しかし、21世紀に入り、2004年9月には World Conservation Society がロックフェラー大学において地球における健康を分野を超えて総合的に見直そうとするシンポジウム "Building Interdisciplinary Bridges"を開き、12の原則 "12 Manhattan Principles" を発表する。その後、この運動は "One World - One Health (OWOH)" として現在も継続されている。
2009年にアフリカのペストがほぼゼロに激減したが、それは医学的な理由に因るのではなく、世界的な気候変動が媒介するノミなどに影響を及ぼした可能性が考えられ、病気の全体像を捉えるためには広い視点が求められる証左としていた。このようなアプローチをする上で重要になるが異分野間の協力であるが、そこで障害になっているのがお互いに敬意を払う姿勢の欠如であるという。これからの研究者は specialist であるだけでは不十分で、generalist の視点も併せ持たなければならないだろう。その上で、異なる領域の研究者と積極的に交わり、共同で事を進めることが求められる。
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