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vendredi 19 août 2011

ミシェル・ペトルチアーニさんに触れる Michel Petrucciani, pianiste français



久し振りにジャズチャネルへ。
詩情溢れる澄み切った音が流れてくる。
自然に心に響いてくるのでしばらく聞き入っていると、
このピアニストの名前が続いた。
Michel Petrucciani, 1962年12月28日 - 1999年1月6日)


名前は知っていたが、こんな音楽を奏でるピアニストだとは知らなかった。
彼がフランス人だったことも。
名前は聞いたことがあるが、中身を何も知らない。
これまでこんなことばかりだ。
このままでは何も理解しないうちにこの世から去っていくことになるだろう。
そう気付いた時、何かに出遭ったその時に直ちに摩擦の痕を残しておくことにした。

今回も素晴らしいドキュメンタリーと演奏を味わい、記憶に傷を付ける。


















ニューヨークがもう懐かしく感じられる。
第二の故郷になるのだろうか。
遠くにありて思う方がよいのかもしれない。






 ステファン・グラッペリ
Stéphane Grappelli, 1908年1月26日-1997年12月1日)


ほとんど90歳で亡くなっているが、最後までとろけるような音を出している。






これはお暇のある方でなければ駄目だろうが、彼の世界を満喫できる。



dimanche 24 octobre 2010

望月京の世界 Le monde de Misato Michizuki



今年の9月は中旬だっただろうか。仕事をするつもりで午前中からパスツール研究所に出掛け、お昼の散策をして戻った時のことだった。何げなく手に取ったル・モンドの日本人作曲家の写真とインタビュー記事が目に入った。パリの秋祭り(Festival d'automne)で彼女の作品が発表されるのを機に紹介されたようである。

望月京Misato Michizuki, born 1969)

若い時からこちらに来られていて、お話にどこか日本人離れした哲学的雰囲気が漂っているのを感じ、印象に残っていた。そして先週月曜、Théâtre des Bouffes du Nord でコンサートがあったので、自らの中にどのような反応が起こるのかを見ることにした。その時の印象を綴ってみたい。





ホールはそれほど大きくはなく、演奏者と同じ平面で聞くことができ、距離感がよい。cozy な感じとでも言えばよいのだろうか。プログラムはいただいたが、席が暗いので目を通す気にならず、出てくる音に身を任せた。

冒頭、の独奏が始まる。ステージをゆっくり移動しながらの演奏。これほどじっくり笙の音色を聞くのは初めてではないだろうか。どこかバンドネオンを思わせるところもあり、現代的であると同時に日本を超えるものを持っているようにも感じていた。この楽器はフランス語で " orgue à bouche " (口で演奏するオルガン)。言い得て妙である。リードを一杯に震わせるのではなく、絶妙な息遣いで演奏されていたので楽器の特徴がよく引き出され、多様な音を楽しむことができた。演奏はMayumi Miyataさん。出しものは "Banshikicho no Choshi" と "Sojo no Choshi" であった。

そして望月さんの曲が始まった。西洋の楽器(バイオリン、チェロ、フルート、オーボエ、クラリネット、トロンボーン、ティンパニーなど)が使われているが、その他にワインボトルを叩いたり、その口に息を吹きかけたり、ホースに息を吹き込んだり、ワイングラスの縁を指で擦ったり、アクリル板を持って前後に曲げてみたりと、謂わば日常に近い音も取り入れている。これまで現代曲を聴いてきたとはとても言えないが、絵画の抽象画を観るような感覚で聴いていた。それは大きなキャンバスにいろいろな音が点として、線として、あるいは叫びのような乱れた塊として投げつけられているというイメージに近い。目を閉じて聴いていると、この世界を説明する最近のM理論ではないが、何次元の世界にいるのかわからなくなる。それから音の出る場も大切にしていることが照明を入れていることからもわかる。例えば写真で横に伸びる白いチューブのようなものは蛍光灯で、何種類かの色を出していた。これらの音楽を聴きながら、実はわれわれの日常に溢れる音こそ音楽であることを教えられたように感じていた。窓を開ける音、鳥の鳴き声、木々のざわめき、人の行き交う音、漏れる会話、子供の泣き声や話し声、車の音、飛行機の音などなど、われわれの廻りに耳を澄ますとそれらすべてが音楽を奏でていたのである。

曲目は "Etheric Blueprint Trilogy" となっており、"4D"、"Wise Water"、"Etheric Blueprint" から構成されていた。演奏はアムステルダムをベースに活躍中のNieuw Ensemble。コンサートは1時間ちょっとで終わった。




帰りのメトロでプログラムに目を通してみた。望月さんを紹介する文章によると、3年前から大学で教えるようになったが、そこでは自身が学生として習った音楽の技法を教えるのではなく、もっと広く、領域を跨ぐような豊かな視点を文化や芸術の歴史について得ることができるようにしたいとの希望を持っている。それから作品には写真や生物学、宇宙論などの科学も取り入れている。生物や意識の進化、DNA、遺伝子とその変異から霊感を得た作品として、Chimera(2000)、Homeobox(2001)、Meteorite(2003)がある。また環境との適応という観点から、人間と地球の歴史との統合という視点も生まれている。例えば、テイヤール・ド・シャルダン(1881-1955)による人間の知性の世界ノウアスフィア(La noosphère)や人間の進化の頂点と考えられるオメガ点をもとに、Noos(2001)やOmega Project(2002)を作っている。彼女の中には、科学や哲学、あるいは宗教的なものをもとに、芸術を通してこの世界と繋がりたいという意思があるように感じていた。今回発表された "4D" はデヴィッド・ボーム(1917-1992)の哲学に、また "Wise Water" は江本勝(1943-)という方の『水は答えを知っている』に出てくる、水がこれまでに旅した場所の振動を記憶として持っているというお話に触発されたもので、最後の "Etheric Blueprint" はアリストテレスの時代から空中を満たす神の声とも言えるエーテルを題材にしたとのこと。これらのお話を読みながら、壮大な世界が彼女の中に広がっているのが見えるようであった。