jeudi 5 février 2009

モンタニエ氏語る Luc Montagnier parle de la médecine d'aujourd'hui


2008年 04月 19日


モンタニエ氏のインタビュー記事 (Enjeux-les-Echos) から。以下のタイトルで、医学、科学の現状を語っているので聞いてみたい。

" La médecine du XXe siècle a épuisé ses ressources"
「20世紀の医学はその蓄えを使い果たした」

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われわれの平均寿命は、まだ毎年3ヶ月の伸びを見せている。しかし、ガン、白血病、心血管系、神経系の原因不明の病に侵されている。老化にしても同様である。今日、長生きする人は増えているが、骨や関節の問題、ガン、アルツハイマー病、パーキンソン病などで老後が必ずしも豊かなものにならない場合がある。 入院期間が延び、効果のない高価な治療を続けることになり、健康保険も赤字に陥っている。

なぜ慢性の病気をなくすことができないのか。一つには、その原因が単一ではなく複数絡み合っているからだろう。それから一つのもの、例えば酸化ストレスと呼ばれる現象はDNAに変異を起こし、脂質や蛋白を変化させ、われわれの免疫系を弱めるという複数の効果を持つ。またある種の病原体は免疫系と折り合いをつけ、われわれの中の留まり続けるということも起こっている。

私は、エイズは老化が急速に起こるようなもので、老化はエイズがゆっくり進行するようなものであると言っている。老化に伴い免疫系をコントロールしている胸腺はほとんどなくなるが、エイズの場合はそれが急速に起こる。胸腺の退縮は生物学的にプログラムされている。それは食料が限られていた太古に老人が退場することが種の保存に必須だったという厳しい自然選択の結果である。しかし、その後の文明、文化の発達に伴い、今やそれは存在理由がなくなっている。

医学もその自然選択に抗する役割を果たしてきた。それは本来早く亡くなるべき人たちを救っているからである。そのことにより、遺伝的欠陥を後世に引き継ぐことになるだろう。これは事実で、これから遺伝病が増えるということを考慮に入れて、われわれはこの新たな状況に対処しなければならない。

したがって、遺伝子治療に関しては賛成である。ただし、自然がわれわれの体に生殖細胞と体細胞を分けて与えていることの意味を考えなければならないだろう。体細胞の遺伝子を操作することには問題を感じないが、われわれの遺伝子構成を変えることになるような操作には相当の慎重さが求められるだろう。幹細胞ですべてが解決するという立場にも私は慎重である。

私は常に理性的であり偏見も持たない。植物エキスを治療に使ったわれわれの祖先の智慧をまだ科学的に検討できていないのだ。分子生物学は多くの成果を上げたが、ほぼ限界に来ていて、すべてを説明することにはなっていない。ホメオパシーはまだ謎のままである。

パスツールは微生物には何の意味もなく、その場がすべてだと言っている。われわれの体は常に細菌と接触している。免疫系が働いていれば、微生物の増殖は抑えることができる。ある種の植物エキスは酸化ストレスへの効果で免疫系を活性化する。エイズウイルスに感染している人の5%は発症しない。細菌やウイルスが ガンに関与しているとすれば、例えば、弱い化学療法と抗生物質による治療の併用などのアプローチを取ることができるだろう。免疫系の賦活化による治療が発展することを願っている。人間は120歳まで生きるようにプログラムされているのだから。

酸化ストレスが老化などに関与している。植物に由来する薬剤の有効性を試すのがこれからの目的である。祖先の経験を拒否するのではなく、現代医学と結びつける試みが大切だろう。

フランスの研究は、第二次大戦と占領でイギリスやアメリカの科学と隔絶してしまった。ドゴール大統領はこのことに気づき、若い研究者をアメリカやイギリスに送り出した。それは、特に分子生物学において重要な役割を果たした。しかしそれ以来、その方法と概念を用いることに満足してしまった。エイズウイルスの発見は、すでに知られていた手法を単に用いた基礎研究によるものであった。その後多くの優秀な研究者が研究を進めているが、大きな技術革新を生み出すには至っていない。国による研究システムの整備が全くされていない。それからソ連崩壊後に優秀な研究者を呼び寄せることに失敗した。彼らはアメリカに流れてしまった。

さらに研究費も不十分である。日本は国内総生産の3%を研究に当てている。それから中国やインドも続いている。このままの状態でいると、世界におけるわれわれの占める位置は縮小していくだろう。この状況を抜け出すためには、突破口となる技術革新と概念の転換が必須になるだろう。フランスの経済的な発展と国民の安寧は偏にこの点にかかっている。




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