dimanche 13 juillet 2008

"Never Retire" by William Safire



数日前に読んだ資料の中で、私にとっては懐かしいこの方に思わぬ形で再会した。

William Safire (born December 17, 1929)

私のニューヨーク時代、ニューヨーク・タイムズ(NYT)で彼のコラムを読み、そこから本になった "On Language" にもよくお世話になった。安定した感じの人という印象。私が若い時のNYTの記者と言えば、ジェームズ・レストンが記憶に残っているが、今では彼がそのようなNYTを象徴するような立派な、しかし親しみのある記者になっているのかもしれない。

今回彼が再び浮き上がってきたのは、"neuroethics" という言葉の生みの親ということにされていることを読んだからだ。いつから倫理などに興味が湧いていたのか知らないが、出版された大統領生命倫理評議会報 告書に序文まで書いている。(日本語訳:「治療を超えて : バイオテクノロジーと幸福の追求 : 大統領生命倫理評議会報告書 」)。2005年にはNYTを辞め、今はニューヨークに居を構える神経科学を中心にした科学、健康、教育をサポートするDana Foundationの理事長として活躍している。現在78歳。以下のビデオでもわかるように、まだまだ元気である。アメリカの学者も精神が活発に動いている様子が伝わってきて気持ちがよい。

"Science, Ethics and the Law"

これから今日のタイトルになったお話になる。この言葉は彼がNYTを辞める時(2005年1月24日)のコラムのタイトルである(原文はこちらです)。そこには、最後までしっかりと生きるためにはどうしたらよいのかという彼の考えが独特のユーモアを交えながら綴られていて元気になる。3年以上も前のものなのですでに読まれている方もいるとは思うが、簡単に紹介したい。

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数年前に、DNAの構造の発見者であるジェームズ・ワトソンが私にこう言った。

"Never retire. Your brain needs exercise or it will atrophy"
 (決して辞めるな。脳はトレーニングが必要、そうしないと萎縮するぞ)

現在75歳で至って健康。誰も辞めろとは言わないし、最近書いた記事には32年間で最高の反応があった。それなのになぜ辞めるのか。

50年前にインタビューした晩年のブルース・バートンがいつも新しいことにチャレンジすることが大切と言ったことに対して、私がこうまとめた。それ以来、彼の言葉として使っている。

"When you're through changing, you're through."
 (変わることを止める時、人生は終わるのだ)

この二つのアドバイスをまとめると、次のようになるだろう。

"Never retire, but plan to change your career to keep your synapses snapping"
 (決して辞めるな。そして、シナプスが活発に活動し続けるようにキャリアを変える工夫をしなさい)

この一世紀で寿命は30年も延びた。すでに聖書にある70歳という限界も優に超えている。脳がおかしくなっているのに体だけこの世に留まっていても自分だけでなく社会の負担になるだろう。寿命が延びて意味があるのは、精神の命が保たれている場合である。

Dana 財団では neuroethics のフォーラムを開いて、討論する機会を作っている。そこで問題になるのは次のようなことだ。

● 脳の病気を治療するばかりではなく、その機能を高めようとするのは正しいか?
● 成長ホルモンで身長を調節すべきか?
● クローンは道徳的に正しいか?
● 薬で幸福感を得るのは真の幸福を蝕むか?
● 早期に芸術に触れると数学、建築、歴史などに対する認識過程に影響があるか?

最後の問に対しては、新しいイメージングの研究により肯定的な答えが出ており、学校における芸術教育の予算にも影響を与えるまでになっている。

人 生の最後に必要なのは、新鮮な刺激を保つこと。そのためにはキャリアの早い時期からリラックスするための余技(avocation)を始めること。それが 精神を働かせることになる最終ステージでの仕事(vocation)に必要となるのだ。仕事(job)を辞めて精神的な危機に陥らないためにも。爽快な二 度目の風を捉えるためにも。

"When you're through changing, learning, working to stay involved -- only then are you through. Never retire."
 (変わること、学ぶこと、関わり続けようとすることを止めた時、その時こそ君の人生は終るのだ。決して辞めるな)


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