samedi 14 mars 2009

マッシモ・ピグリウッチさんのセミナーを聞く Massimo Pigliucci



昨日の午後からニューヨーク州立大学ストーニー・ブルック校のマッシモ・ピグリウッチさんのセミナーがあった。昨年、ウィーン近郊のアルテンベルグにあるコンラート・ローレンツ研究所で開かれた進化論の新たな展開を探る会議で明らかになったことが中心であった。この会議については、昨年Nature誌にも取り上げられていたので興味を持って出かけた。

演題: Evolutionary theory: the view from Altenberg

ダーウィンに始まる進化論を次にように追っていた。

Evolutionary theory 1.0:

(1) common descent
(2) natural selection

ET 1.1:
(1) rejection of Lamarck
(2) separation of soma & germ

中心となった科学者:アルフレッド・ウォレスアウグスト・ヴァイスマン

ET 2.0: beginning of the modern synthesis
(1) compatibility between Mendelism & statistical genetics
(2) theories of selection & random drift: birth of population genetics

中心となった科学者:ロナルド・フィシャーJ.B.S.ホールデンシーウォル・ライト

ET 2.1: mature modern synthesis
(1) variationi in natural populations
(2) species concepts, speciation processes
(3) compatibility of gradualism with paleontology
(4) applicability of Darwinism to variety of mating & genetic systems in plants

中心となった科学者:テオドシウス・ドブジャンスキージュリアン・ハクスレーエルンスト・マイヤージョージ・ゲイロード・シンプソンジョージ・レドヤード・ステビンズ

これから modern synthesis の先をゆくET 3.0 に当たるものが必要になるのかどうか。この点について話し合うためにアルテンベルグに集まり、以下のような問題点について考えたという。

(1) How do we factor in development?
(2) Is evolution always gradual?
(3) Is natural selection the only organizing principle?
(4) What are the targets of selection?
(5) Is there a discontinuity between micro- and macro-evolution?
(6) Is the question of lamarckian inheritance settled?
(7) Where do evolutionary novelties come from?
(8) What about ecology?

この中では最後のエコロジーについて強調していたのが印象に残った。エコロジーが学問としての体裁を成しているのか。エコロジーこそこれから取り込んでいかなければならない領域ではないのか。要は、未だに手つかずで期待が持てる領域であるということになる。

トマス・クーンが物理学と天文学の歴史からパラダイムシフトという概念を導き出したが、生物学ではそれがあるのかどうか。神の存在を唱えたウィリアム・ペイリーからダーウィンにおける展開はその一つだろう。しかし、それ以降の展開はダーウィン進化論の修正、修飾、発展が中心でパラダイムシフトと言えるものはまだ現れていない。これからどのように進行していくのだろうか。その意味では興味深い領域ではある。

この成果は来年MIT Pressから出版されるようだ。最後に、新らたに彼もエディターの一人になって出すことになった open-access online journal "Philosophy & Theory in Biology (P&TB)" の紹介があった。生物学と哲学が離れてあり、時には対立する状態にもなる科学と哲学の関係を打開しようという意図も感じられ、同じ認識を持っている者として共感を持って聞いていた。

Massimo Pigliucci's Evolutionary Ecology Lab site




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