これまでの WHO の対応を評価する記事が NYT に出ていたので紹介したい。
4月29日の WHO の事務局長マーガレット・チャン (Margaret Chan) 氏の発表で世界は揺れたが、このところ CDC が学校の再開を推奨したり、ケーブル・ニュースでも大きく取り上げなくなり、落ち着いてきたかに見える。しかし、チャン氏はまだ警戒レベルを下げることは考えていないようだ。なぜなら、このレベルは致死率ではなく、地理的な広がりをもとにしているからだ。チャン氏のこれまでの対応は評価するものの、警戒レベルを致死率も考慮に入れてものに改変する必要を唱える者もいる。
チャン氏によると、今回の対応には2003年に香港で発生した SARS での経験が生かされているという。彼女はその現地責任者として事に当たった。2005年に行われた WHO による方針変更で事務局長は自ら警戒レベルを決定できるようになり、世界の公衆衛生分野で最も力のある人になった。
2006年にそのポストに就いたチャン氏は、運転もタイプも料理もしない。1947年香港に生まれ育ち、教師になる。1969年、将来夫になるデヴィッド・チャン氏がカナダの大学に行くと心配になった彼女は母親に相談、後を追うことにする。デヴィッドが医者を目指すことになると、彼女も医学を目指すことにする。小児科を学び、1978年香港の公衆衛生局に就職。1997年に発生した鳥インフルエンザに対応。140万羽の鳥を屠殺する決断をし、感染を終息させる。彼女はこれで注目を集める。
2003年の SARS 感染時には初期の対応に批判も出たが、総合的には支持された。この時の経験が今回の素早い対応になったと言われる。彼女は言う。今回のように新しい感染の場合には全体像を掴むのが難しく、常に謙虚でなければならない。この10日間の彼女の対応に対する評価は高い。
Managing a flu threat with seasoned urgency (The New York Times, May 9, 2009)
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