lundi 4 mai 2009

アダム・ザガイェフスキさんとともに



先月、1週間ほど滞在したポーランドのクラクフは、いろいろな印象を私の中に残した意義深い滞在になった。その町での散策の途中に入った書店で、アダム・ザガイェフスキさん (Adam Zagajewski、1945年6月21日-) に出会う。翌日、彼の詩集 "Eternal Enemies" とエッセイ集 "A Defense of Ardor" を持ってヴァヴェルの丘に上り、カフェで開く。エッセイの中で彼の移動の歴史が語られている。Lvov で生まれ Gliwice へ。Gliwice から Krakow へ、Krakow から Berlin (2年間) へ、そこから Paris で20年ほど。Paris から Houston で年4か月の生活。そして Krakow に戻った。

彼の詩集に次のような言葉がある。

I returned to you years later,
gray and lovely city,
unchanging city
buried in the waters of the past.

   (from "Star")

わたしがこの町に入って最初に感じたことがここにある。
今動いている世界から動きの止まっている町へ入った。
今動いている世界の昔の姿がここにある。
それが懐かしさを呼んだのかも知れない。
心を落ち着かせたのかも知れない。
それはまさに、今激しく流れる川面の奥深く、静かに蠢く過去なのかも知れない。

superficial とはよく言ったものだ。
川面で流れに身を任せ、時の流れに身を任せる。
その底には我々個人の、そして人類の過去が眠っている。
川の中に身を沈め、そこを眺めてみようではないか。
川面が全く違って見えてくるかもしれない。
多層的に生きたいものだ。
その意思だけは持ち続けたいものだ。

こんな言葉もある。

I would have liked to live among the Greeks,
talk with Sophocles' disciples,
learn the rites of secret mysteries,

   (from "The Greeks")

過去に生きる、生きたいと欲する。
それは何と無駄な時間だろうか、と思っていたのはほんの数年前。
そこからしか未来は見えないと思い始めて、まだ数年にしかならない。

この世で大切なこと、それはどこからものを見るかだろう。
その視点が変わるだけで、この世が全く新しいものになる。
その視点が多いだけ、この世は豊かに見えてくる。
多層的に生きたいものだ。
その意思だけは持ち続けたいものだ。


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