mercredi 20 mai 2009

インフルエンザA (H1N1) (Grippe porcine; Swine flu) - 28 日本文化との関連 

今回の感染とその後の対応を見ているとお国柄が現れる。医学の問題が文化によって大きく修飾されているのがわかる。日本の状況について詳しく見ているわけではないので遠くからの印象という程度にしか過ぎないが、私なりに見えてくるものがある。

第一には、基本にあるべき医学的、科学的な視点が薄弱であるということである。これは報道に見られる態度やそれに対する反応について日常的に経験していることだが、このような事態ではさらに強調されて見える。真の意味で、科学的な考え方がわれわれにまだ根付いていない証拠ではないかと思われる。あるいは、われわれのどこかに科学以外のところに価値を見出す文化的な習性があるのかもしれない。誤解を恐れずに言えば、科学的であることの意味など、どうでもよいと思っているとの疑いさえ生まれてくる。

第二には、某国の首相が上から目線と批判されていて、そのことに異存があるわけではないが、その目線は日本の政治から行政に至るあらゆる所に見られるということである。そこには最初から情報をコントロールするということが組み込まれていて、このような状況でさえ情報を政治的に利用することもありうるだろう。情報の公開に際して物々しさを感じさせるとすれば、そこには情報をコントロールしている意識がどこかにあるのではないだろうか。求められることは、あくまでも科学的で冷静な状況判断とその説明になるが、どの程度できているのだろうか。

第三には、上の二つの根にある問題で、個人の自律ということになる。これは自らの中に向けて問いかけることを繰り返す中で初めて生まれるもので、外の規範に合わせることを良しとする文化の中で生きている場合には、そこに辿り着くのは難しいのではないだろうか。しかし、この個人の自律的な生き方なくして科学的な精神が宿ることもなければ批判精神も生まれないだろう。そして、その精神なしには社会を内から変える力、ひいては新しいものを生み出す力は出てこないだろう。

以上がこれまで様子を遠くから見ていて現段階で浮かんできた感想になる。将来、医学の問題を社会的・文化的・哲学的に研究する分野の方が、今回の状況について研究成果を出されるものと思われる。どのような解析をされるのか期待したい。今回の感染はまだ継続中で、これからも予断を許さない状況が続くと予想される。折に触れて私なりに感想を綴ることがあるかもしれない。

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